カラーってそもそも何?美容師が「アルカリ性カラー」について解説します!
今や当たり前となったヘアカラー。最も一般的なカラーは「アルカリ性カラー」だということをご存知ですか?いつも染めているけど意外と仕組みについては知らないという方も多いかもしれませんね。今回はそんな、身近すぎて今さら聞けないヘアカラーにまつわる疑問をすべて解決していきます!
そもそもアルカリ性カラーってどんなもの?
カラー剤は豊富!!
カラー剤には様々な種類がありますが、大人気のイルミナカラーやアディクシーカラーを含め、みなさんが体験してきた一般的な「カラー」のほとんどは「アルカリ性のカラー剤」によるものです。他にもヘアマニキュアやブリーチ、ヘナなど様々なカラーの方法がありますが、これらはアルカリ性カラーとはまた違う分類になります。
この記事では、最もポピュラーな「アルカリ性カラー」について詳しく紹介していきます。「カラー剤」「薬剤」というと通常は薬剤全般を指しますが、この記事においては「アルカリ性カラー剤のこと」とご理解頂けるとスムーズだと思います。
本題に入る前に、カラーについて関連記事がいくつかあるのでまとめてご紹介しておきます。
■カラー剤の種類全般については「カラーリングにはどんな種類があるの?」の記事にまとめています。
■カラートリートメントについては「カラートリートメントとカラー・白髪染めの違いは?利尻昆布?マニパニ?何が違うの!?」に。
■ブリーチについては「ヘアカラー&ブリーチ大好き現役美容師がブリーチカラーの基本とスタイルデザインをまとめてみた」に。
■ヘナについては「現役美容師がヘナカラーの魅力と難点を語り尽くす。」に。
いずれも力作なのでご興味があれば読んでみてくださいね!
さて、ここからが本題です。アルカリ性カラー剤には、美容室でしか扱うことのできないプロ専用のものもあれば、ドラッグストアやスーパーなどで簡単に手に入れることのできるものもあります。そう、市販の紙箱に入ったカラー剤も「アルカリ性カラー」に分類されるんですね。
美容室では、お客様の求めるヘアスタイルや髪質などに合わせてさまざまなカラー剤を揃えています。そしてその中から毎回、一番お客様に合う薬剤を選んで使います。アルカリ性のカラー剤で髪を染める時は、求めるヘアスタイルや髪質、ダメージ度合いにもよりますが、だいたい1〜2時間かかります。特にこだわったヘアスタイルにしたい場合、3時間以上かかることもあります。
ヘアカラーは、ヘアスタイルやメイク、服装などと同じくらいその人の雰囲気を作り出すための大切な要素なので、「時間やお金がかかってもヘアカラーがしたい!」という方も多く、美容室でも約半数の方がオーダーをする人気メニューです。
アルカリ性カラーで髪が染まる仕組み
髪が染まる仕組みとは?
普段、美容室で何気なくオーダーしているヘアカラーですが、一体どんな仕組みで髪が染まっているのか知っていますか?
市販のカラー剤を利用したことがあれば、「カラー剤は1剤と2剤を混ぜて、化学反応を起こして髪を染めるもの」と理解されている方もいると思います。ここではもう少し詳しく、どのように染まっているのかをお伝えします。
まず、1剤に含まれている主な成分は、酸化染料とアルカリ剤です。酸化染料は、発色して色素となる役割があり、アルカリ剤は髪の表面のキューティクルを開くための役割があります。そして2剤に含まれている主な成分は過酸化水素で、1剤と混ぜた時にアルカリ剤と化学反応を起こし、1剤に入っている酸化染料によって髪の内部に色素を入れるための働きがあります。
1剤と2剤を混ぜた後は、化学反応が起こり、効果を発揮するまでにそれぞれ時間差があります。ひとつの物質が反応している時間帯は、他の物質は次の化学反応のためにゆっくり反応しながら待機して待っているというイメージです。
この時間差は大きく分けて3つに分かれます。では、どのように物質が反応していくのかご紹介していきます。
1.アルカリ剤がキューティクルを開く【アルカリ剤が反応する(スタートから約0〜10分)】
1剤と2剤を混ぜると、まず、アルカリ剤が反応します。このアルカリ剤がキューティクルを開いて、その隙間から染料が髪の内部に浸透していきます。この時、2剤に含まれる過酸化水素はゆっくり反応しながら、働き始めるのをじっと待っています。
2.酸素を発生させて、髪の脱色と染色をする【酸素が反応する(スタートから約10〜20分)】
アルカリ剤が反応した後、2剤の過酸化水素に働きかけて酸素を発生させます。この酸素の働きかけにより、髪の黒色の元となるメラニン色素を脱色します。その後に、先ほど発生した酸素と酸化染料が反応して、色素を髪の中で発色させる酸化重合という化学反応が起こります。
3.色素の定着【染料が反応する(スタートしてから約20〜30分)】
酸化重合の化学反応により、分子同士が結合し合い、髪の中で発色した色素がどんどん大きくなります。このように色素がキューティクルの外側へ簡単に出られないようにして、髪の内部へしっかりと定着させます。
髪にカラー剤がついてからは、メーカーなどによっても違いはありますが、反応しきるまでおよそ20〜40分の時間がかかります。
少し長いようにも感じるかもしれませんが、髪の内部でしっかりと反応させることによって、色もちの良いキレイな発色のヘアカラーをすることができるのです。
髪の内部に色素が定着している間は「髪に色が入っている」という状態で、キレイな髪色に見えるのですが、この色素が髪の外にすべて出てしまうと、「髪の色が退色してしまった」という状態で、次にヘアカラーをするタイミングになります。
アルカリ性カラーでできること
写真はカラーが得意な札幌の美容室 SEAM のスタイルより
それでは次に、アルカリ性カラーでできることについて見ていきましょう。ヘアカラーでできることは、
・髪を明るくすること
・暗くすること
・色味を入れること
・白髪を染めること
の4つ。要するに、お客様の好きな明るさと色味を選んで染められるということです。
先ほどの【そもそもヘアカラーってどんなもの?①ヘアカラーで髪が染まる仕組み】でお伝えした通り、ヘアカラーではアルカリの力により、髪の明るさや色味を決めるメラニン色素をコントロールすることができるので、好きな明るさ・色に染めることができるのです。
アルカリ性カラーの色もち
写真はカラーが上手い名古屋の美容室 CLEAR of hair 栄南店 のスタイルより
アルカリ性カラーの色もちについては、自宅でどのように髪を扱っているかや、ケアの度合いにもよりますが、ダメージしていない髪での色もちはおよそ2〜3カ月です。
ダメージしていたり、一度ブリーチなどを使ってハイトーンまで髪の色を明るくしている人は、色を入れても約1〜2週間で抜けてしまう人もいます。
色を少しでも長くもたせたい場合は、極力髪をダメージさせないように気をつけることと、カラー用のシャンプーやトリートメントを使うことをオススメします。
ヘアドライヤーを使う前の流さないトリートメントも効果的です。どのようなアイテムでケアをすると良いかは髪質にもよりますので、美容師と相談して決めてくださいね。
アルカリ性カラーのメリット
美容室でヘアカラーをすると、それなりに時間もお金もかかってしまいますよね。ですが、ヘアカラーにはたくさんのメリットがあります。だからこそ、たくさんの人から人気があるのですが、ヘアカラーのメリットとは何でしょうか?
ひとつずつご紹介しますので、あなたの悩みに当てはまるかどうかチェックしてみてくださいね。
カラーバリエーションが豊富
写真はカラーが得意な横浜の美容室 OORDER
のスタイルより
アルカリ性カラーの一番のメリットは、好きな明るさ、好きな色味の髪にすることができるということです。そのカラーバリエーションはとても豊富で数えきれないほど。
繊細に色味を足したり、ほんのり明るくしたりと、さまざまな色にすることができます。最近では、サラサラでフワフワに見えると評判のアッシュやマットなど、赤みを消した色も人気があります。
季節や流行の色だけでなく、あなたのよく着る服の色などに合わせてヘアカラーの色味を調節することができるので、毎回飽きることなくヘアカラーを楽しむことができます。
白髪が染まる
写真は白髪染めに定評のある吉祥寺の美容室 claude MONET のスタイルより
白髪を染めると、若く見えたり、服やメイクと髪型を合わせやすくなったりと、たくさんのメリットがありますよね。アルカリ性カラーなら、俗に言う「白髪染め」の薬剤もあります。キレイに他の髪と馴染んで染まるので、白髪で悩んでいる人にはメリットですよね。
白髪染めは暗い色しか選べないと思われがちですが、最近の白髪染めはやや明るめに、オシャレ染めと似た雰囲気で染めることができます。赤みを消しつつ白髪染めもできる、という薬剤も出てきているほどです。いつまでもオシャレを楽しんでいたい人には、こうした白髪染めは人気があります。
肌を明るくツヤツヤに見せてくれる
写真はカラーが上手い銀座の美容室 ANTERET
のスタイルより
ヘアカラーをする前の黒髪と、ヘアカラーをした後の明るい髪とでは、見た目の印象が大分変わります。まったく同じ人で、同じメイク、同じ服を着ていたとしても、ヘアカラーをした後の方が顔がパッと明るく見えます。
さらに、肌に合う色でヘアカラーをすると、肌にツヤが出て、少し若く見える効果もあります。メイクともしっくりくるヘアスタイルに見えるので、女性からすると嬉しいことだらけです。垢抜けた雰囲気にしたい人や、無理のないアンチエイジングをしたい人にもヘアカラーはオススメです。
アルカリ性カラーのデメリット
何度もお伝えしていますが、アルカリ性カラーはあくまでも薬剤です。便利なものではありますが、デメリットもあり、取り扱いには特に気をつけなくてはいけません。染める前に、メリットだけでなくデメリットもきちんと把握しておきましょう。「カラーをしなければよかった!」と思うことがないように事前に十分に気をつけましょう。
ダメージを受けやすい
ダメージには要注意!
他のヘアカラーと違い、アルカリ剤の入っている一般的なヘアカラーでは、短期間に何度も繰り返し使いすぎてしまったり、明るい調合のヘアカラーをしすぎると、髪が薬剤に耐えきれなくなり、ダメージを起こすことがあります。
これは、繰り返しアルカリ剤を使うことで髪のタンパク質がカチカチに変性を起こしてしまうからです。このタンパク変性が起こると、弾力のない固い髪質になり、切れ毛や枝毛が増えてゴワゴワの髪になってしまいます。
一度タンパク変性を起こすと、元の健康な髪には戻りません。ですので、ヘアカラーをする時はダメージしないように美容室でトリートメントをしながらヘアカラーをしたり、自宅でのケアをしっかりする必要があります。
ただ、数回ヘアカラーをする程度ではこのようにすぐにダメージするわけではないので、長い目で見て髪がダメージしてしまわないように気をつけましょう。
アレルギーの可能性がある
心配な人は一度パッチテストを受けてみては?
特にアトピー肌の人や敏感肌の人、肌トラブルのある人は気をつけてほしいのですが、ヘアカラーをすることによって起こるアレルギーは、「ジアミン」という成分によるものであることがほとんどです。そして「ジアミン」はアルカリ性カラーには必ずといっていいほど含まれている染料の成分の一つ。
ジアミンアレルギーはある日急に発症するのでとても怖いのですが、事前にパッチテストをすることでアレルギーが起こりそうかどうか予想することもできます。
ただ、ジアミンアレルギーでなくても生理やホルモンバランスが崩れているタイミングだと体温が高くなりやすいので、普段は大丈夫でも「今回はなんだか地肌がピリピリする」と思うこともあります。体調不良の時や生理の時にはヘアカラーを控えた方がいいといわれますが、それはアレルギーの発症や、普段とは違う肌トラブルが起こりやすいからなのです。
残念ながらジアミンアレルギーだった場合は、アルカリ性カラーではないカラー剤でのカラー方法を考える必要があります。
ジアミンアレルギーに関しては、「ジアミンアレルギーって?染められるカラーはあるの?」に詳しく書かれているので心配な人はぜひチェックしてみてくださいね!
子どもはNG!
当然ダメ!!!
敏感肌の人やアレルギーのある人だけでなく、ヘアカラーをオススメすることができないのは、髪の成長が不十分な「子ども」です。
子どもの髪というのは、表面を覆うキューティクルや、髪の芯となるコルテックスと呼ばれる部分が未発達であることが多いです。
よく、「子どもの頃はストレートだったのに中学生くらいからくせ毛になった」とか、その逆のパターンのお話をよく聞きます。「私がそうだった!」と経験のある人もいるのではないでしょうか?
これは、子どもの頃は髪の成長が不十分であったという証拠です。だいたい中学生くらいになるまでには、本来の髪質に成長するのですが、保育園児や幼稚園児、小学生の頃は髪の成長は人それぞれに違います。
そんな状態の髪にヘアカラーをしてしまうと、予想以上にダメージしてしまったり、希望の色に染まりにくいというトラブルが起こりやすくなってしまいます。
いろんな考え方がありますが、一美容師としては、心も体も成長して、自分でいろいろと責任が取れるようになってから好きなヘアスタイルを楽しんでほしいと思います。
アルカリ性カラーの染め方いろいろ
ヘアカラーによってできることは、【ヘアカラーってどんなもの?③ヘアカラーでできること】でもお伝えしたように、髪を明るくすること、暗くすること、色味を入れること、白髪を染めることの4つです。
実際にヘアカラーをする時に、これらの特徴を活用してどのようなヘアスタイルのデザインができるのか、もう少し詳しく説明します!
単色で染める「ワンカラー」
写真は大人の女性の支持を集める表参道の美容室 studio Teo のスタイルより
「ワンカラー」は、美容室でヘアカラーをするお客様に一番人気で、多くのカラースタイルに用いられる方法です。ワンカラーという名前からわかるように、根元から毛先まで一色の色味に仕上がるように染めるという特徴があります。初めてヘアカラーをする人でしたら、すべての黒髪を均一に明るくしながら希望の色味をしっかり入れます。
施術の際はしっかり色素が定着するように時間を置くので、退色してギラギラとオレンジ色っぽくなってしまった毛先の色素をしっかりと消して、希望通りのキレイな色に染めることができます。
根本だけを染める「リタッチカラー」
染めた髪の根元が黒く伸びた状態を「プリン状態」という!
このリタッチカラーは、一度ヘアカラーをした後に、根元の黒く伸びた部分のみを染めるやり方です。染めてから時間が経過した人の髪はよく「プリン状態」と呼ばれますが、それを解消するカラー方法ということですね。
この染め方は毛先に薬剤がつかないので、毛先をダメージさせることなくキレイなヘアスタイルをキープできます。特に毛先の退色が気にならないなら、2〜3回に一度はリタッチによる染め方でも良いと思います。
このリタッチという染め方ができるのもアルカリ性カラーの特徴です。なぜかというと、絵の具のように薬剤を調合することで、毛先の色に馴染ませつつ根元を明るくできるからです。毛先の色は、こげ茶やほんのり赤味がかっていた色、アッシュ系など人それぞれ違います。アルカリ性カラーは薬剤の種類が豊富であり、しかも混ぜて新たな発色をさせることができるため、様々な髪色に合わせて繊細にヘアカラーをすることができるんですね。
ブリーチをした後に染める「ダブルカラー」
写真はカラーが上手い名古屋の美容室 CLEAR of hair 栄南店
のスタイルより
ダブルカラーは、一度ブリーチで全体の色を明るくしてから、更にカラー剤で色を入れるというやり方です。アルカリ性カラーにもそもそも脱色と染色のはたらきがあるとお伝えしましたが、カラー剤だけでは補えない脱色をブリーチで先に行っておくということになります。その名の通り2回カラーをすることになるため時間はかかりますが、透明感のあるキレイな発色を楽しむことができるので特にオシャレな人から人気の染め方です。
ブリーチをした後の髪は大体キツいオレンジ色や黄色になりやすいのですが、アルカリ性カラーなら嫌な色味をしっかりと消し、新たに希望の色味にすることができます。ダブルカラーというと明るすぎる印象のある方もいるかもしれませんが、一度ブリーチをしてからあえて黒やグレーなどの暗い色を入れ、透明感を楽しむ方もいます。より明度や質感に差を出したいならオススメの染め方です。
アルカリ性カラーの染め方いろいろ〜デザインカラー編〜
細い毛束を筋状に染める「ハイライト」
写真はカラーが上手い横浜の美容室 Ley by KINGDOM のスタイルより
ヘアカラーを行う時は、全体を染めるだけでなく、デザインの一部として、部分的な髪のみを染める方法もあります。それにより、あなただけのオリジナルのヘアスタイルになったり、ペタンコになりやすいトップやサイドの部分をふんわり見せたりする骨格矯正の役割を果たします。
色味や染める範囲を変えるだけでも無数のヘアスタイルを作り出すことができるので、興味のある人は美容師に相談してみてくださいね!
まず、デザインカラーの中でも人気なこのハイライトとは、ヘアスタイルに奥行きがあるように見せることのできる染め方です。ハイライトについては「ハイライトで叶える毛先まで上品な大人ヘアカラー」の記事に詳しく書いてありますのでぜひチェックしてみてください。
上記の記事より染め方や効果を引用します。
「ハイライト」とは、「明るい光」という意味で、ヘアカラーでは、ごくごく細く取った毛束を、他の部分の髪にカラー剤がつかないようアルミホイルを使って丁寧に塗り分け、一部だけ明るく染める技法のことを指します。
このカラーリングを取り入れる事によって髪の毛に陰影が付き、奥行きや立体感のある毛流れに見えます。パーマや巻いた髪とも相性が良く、よりくっきり、ふんわりとボリュームアップして見えるのです。白髪もぼかして目立たなくしてくれます!!
ハイライトで特に人気なのは、ベースの明るさが8〜10レベルのブラウンで、ハイライト部分はくっきり目立つようにベージュの色味にし、ベースの明るさからおよそ3〜5レベル明るくしたヘアスタイルです。
ハイライトを細く入れることで、上品な陰影がつきます。このように染めることで、ただザックリとポニーテールにしたり、お団子にしたり、ふんわり巻いたりするだけでもとってもオシャレに仕上がります!
髪をめくるとカラーがのぞく「インナーカラー」
写真はカラーが上手い吉祥寺の美容室 lieu de PARTIL
のスタイルより
インナーカラーというのは、髪の表面と内側のヘアカラーを、別の色や、違う明るさにする染め方です。髪を下ろすと普通に見えるのに、アップにしたり横髪を耳にかけた時にチラッと見える内側のヘアカラーがオシャレで、デザイン性の高いヘアスタイルにしてくれます。
この染め方は、普段はカラーをしていることを隠しておきたいお仕事の方や、学生さん、オリジナルなヘアスタイルが好きな方に人気があります。
インナーカラーの部分は、ヘアカラーで染めることのできる明るさの色のほか、【ブリーチをした後に染める「ダブルカラー」】で紹介した染め方のように、ブリーチを使ってさらに明るい色で染めることも多いです。
染め方としてはいたってシンプルで、インナーカラー部分以外をヘアカラーがつかないようにクリップやダックと呼ばれるピンで分けておいてから、インナーカラー部分を好みの色に染めるというものです。
ベースを地毛の黒髪にしたい場合はインナーカラーのみのヘアカラーをしますが、ベースも染める場合は、インナーカラーの部分と、それ以外のベースの部分を2つに分けて、まったく別のヘアカラーをするイメージです。
お客様の求めるヘアスタイルによって、ベースを先に染めたり、インナーカラーとベースを同時に染めたりなど、その都度プロセスは違ってきます。かかる時間もヘアスタイルによって違うので、事前に美容師に確認してくださいね。
特に人気があるのは、ベースは黒髪かダークブラウンに染めておいて、インナーカラーをダブルカラーで淡いピンクベージュに染めるヘアスタイルです。チラッと見えるインナーカラーが女性らしく見せてくれますよ。
毛先に向かってだんだん色づく「グラデーション」
写真はデザインカラーが上手い京都の美容室 Hair Studio ARS oike
のスタイルより
グラデーションというのは、その名の通り根元から毛先にいくにつれてだんだん明るくしていく染め方です。どれくらい明暗の差をつけるかはお客様の好みによっても違いますが、だんだんと毛先にいくにつれて明るくなるヘアスタイルは、動きや軽さを出しやすく、こちらもまた人気のある染め方です。
グラデーションカラーは、根元付近の色を暗めに設定すると、髪が伸びてきてもプリンになっているのが目立ちにくいというメリットもあります。
染め方は、時間差で明るくなるように毛先部分、次に中間部分、最後に根元部分と分けてヘアカラーを塗布する方法と、何種類か違う明るさのヘアカラーを用意しておいて一気に塗布する方法の2種類あります。
グラデーションの場合も、ブリーチを使って明るい毛先にしたい場合はダブルカラーをすることがほとんどなので時間がかかりやすいですが、その分透明感のある色になりとてもキレイに仕上がります。
特に人気があるのは、根元付近は黒髪やダークブラウンで、毛先にいくにつれてだんだん明るくなるアッシュ系の色味のヘアスタイルです。
ふんわり巻いても、ザックリとヘアアレンジをしても、しっかり毛先に動きが出て見えるのでオシャレで垢抜けた雰囲気になりますよ!
代表的なカラー剤をご紹介
それでは次に、美容師から人気のある代表的なヘアカラーをご紹介していきます。美容室では、そのお店の看板となるようにヘアカラーにこだわりを持って揃えることが多いです。
広告やホームページなどで「〇〇のヘアカラーを導入しています!」といったように宣伝していたり、InstagramやFacebookで扱っているヘアカラーの名前を紹介している美容室もあります。
今回ご紹介するヘアカラーは、使いやすさや発色、仕上がりなど、どれも人気で美容師から支持されているヘアカラーばかりです!
赤み消し系(イルミナカラー、アディクシーカラーなど)
様々な色が可能になる美容室のヘアカラー。写真は大阪の美容室 HAIR DESIGN melo
提供
赤み消し系のヘアカラーは、ブリーチ時や退色した時に赤やオレンジになりやすい日本人の髪のために研究して作られたヘアカラーです。
というのも、私たち日本人の髪は赤色のメラニンの色素を多く含んでいるので、普通のヘアカラーでは、この赤みを消しきることが難しいのです。髪の赤色が邪魔をして希望通りの色味に仕上がりにくいことも多く、特にアッシュ系やマット系などの色味は出しにくいといわれてきました。
そこで、ブリーチを使わなくても赤色のメラニン色素をしっかりと抑え込んでキレイなアッシュ系やマット系に染めることのできるヘアカラーが開発されたのです。
最近ではInstagramやFacebookなどのハッシュタグにこれらのヘアカラーの名前が載せられることが多いので、ご存知の方も多いと思います。
赤み消し系のヘアカラーを試してみたい人は、美容室のホームページやSNSをチェックして、これらのヘアカラーが使われているか確認してみてください。最先端の技術を取り入れている美容室や、ハイトーン系・アッシュ系のヘアカラーに力を入れている美容室なら取り扱っていることが多いですよ。
オーガニック系(ナシードカラー、エッセンシティカラーなど)
写真はオーガニックにこだわる名古屋の美容室 PATH coupe de beautè 提供(※現在はエッセンシティのカラーは提供されていません)
オーガニック系のカラー剤の場合、ローズマリーエキス、アプリコットオイル、セージエキス、タイムエキスなど、製品によって違いますがさまざまなオーガニックのハーブ成分が含まれています。カラーの際の匂いが気になるという方もいると思いますが、オーガニック系なら気にならないという方も多いです。
また、髪にも優しく作られているのに普通のヘアカラーのようにしっかり染めることができます。特に色味を入れることに優れたヘアカラーなので、退色してダメージの気になる毛先に使われます。
オーガニック系のヘアカラーを扱っている美容室は、シャンプーやトリートメント、スタイリング剤などにもオーガニック商品を導入していることが多いです。
どんなヘアカラーを扱っているのか、ホームページでチェックしたり、電話で確認してみてください。オーガニック系のヘアカラーを取り扱っている美容室では、ドアを開けると、優しいハーブの香りがすることが多いので癒されますよ!
ノンジアミン系(アペティートノンジアミンカラーなど)
写真はヘナの取り扱いがある大阪の美容室 CORAZON の100%天然ヘナの写真
ノンジアミン系のヘアカラーには、ジアミンアレルギーの元となる成分が含まれていません。特に、アペティートの「ノンジアミンカラー」には、ジアミンが一切含まれていません。アルカリ性カラーはジアミンという成分でアレルギーを起こす可能性があると書いたのに、それが入っていないものがあるなんてビックリですよね!
これらは、アレルギーのある人でもヘアカラーをすることができるようにと何度も改良を重ねて誕生したカラー剤です。髪と地肌に優しく作られているのにもかかわらず、たくさんのカラーバリエーションがあるので、普通のヘアカラーのように染めることができると評判です。
ジアミンが入ってなくてもアルカリの力を借りるカラー剤なので、地毛の黒髪を明るくしたり、希望の色味に染めたりと、普通のカラー剤と同じような染め方ができます。
デメリットとしては、ジアミンが入ってないので特に明るめの10レベル以上に染めたい場合は色素が入りにくく、染めても色味を感じにくいことが挙げられます。また、色が比較的抜けやすいので、髪の内部に色素をしっかり定着させることが苦手で、色もちは約1〜1カ月半です。
また、いくらノンジアミン系のヘアカラーといってもすべての人にアレルギーが出ないとは限らないので、アレルギーの心配がある方は事前にパッチテストや医師への相談を行ってからにしましょう。
ノンジアミン系のヘアカラーを扱っている美容室では、お客様の肌を守ることやアレルギー問題に敏感で、ヘナやヘアマニキュアなど、他にも優しいカラー剤を扱っていることがあります。アレルギーで悩んでいる人は、一度チェックしてみてくださいね!
ヘアカラーは市販品よりもサロンで染めるのがオススメ
ヘアカラーはプロに任せるのが一番!!
世の中に数えきれないくらい多くのカラー剤がありますが、最近では市販のヘアカラーも、一般の人が簡単に使えるように改良されていますし、染めたい時に手軽に染めることができるのはメリットですよね。
ですが、「うまくシャンプーできなくてかぶれてしまった」とか、「ムラに仕上がってしまった」などお客様から悩みを聞くたびに、私たち美容師は、薬機法や薬剤について詳しく学んだからこそ「ヘアカラーはあくまでも薬剤で、取り扱いには十分に気をつけなければいけない」と初心に帰ります。
そうしたことから、やはりカラーは美容室で染めるのがオススメだといえます。美容室だとムラなくキレイに希望通りの色に仕上げてくれますし、最近では、カラーを専門に学び、色彩検定やパーソナルカラー診断資格などを取得したカラーリストや美容師がいたりします。そうした美容師は、あなたの好みの色を作るのはもちろん、あなたの肌やよく着る服、よくするメイクの色を考慮し、最も似合う色を一緒に選んでくれます。
その他、美容室でなら、ヘアカラーで髪がダメージしないように薬剤の強さを調節したり、ヘアカラーの後に後処理のトリートメントなどで色もちを良くしてくれたりと、プロならではのこだわりが詰まった施術を受けられます。やはりプロによって染めてもらう方が、安心して任せることができて、髪のダメージを気にすることなく、希望の色をキレイな状態で長くキープできますよ!
あなたに一番合うカラーをしよう!
写真はカラーが上手い札幌の美容室 MEIKA
のスタイルより
いかがでしたか?ヘアカラーはとても身近だからこそ、そこまで深く知られてはいないのですが、知れば知るほど、本当に奥が深いことがわかりますね。
せっかくヘアカラーをするのでしたら、あなたに一番合う色や染め方を楽しめるように、ぜひ次のヘアカラーをする時の参考にしてみてください!