黒染めした髪は明るくできる?ブリーチや脱染剤を使った方法を解説
ハイトーンカラーの髪を手っ取り早く黒髪に戻すことができる「黒染め」。就職活動や学校行事、家族の予定などに合わせて行う方はもちろん、「明るい髪色に飽きたから黒髪に戻そう」という目的で利用する方も多いでしょう。黒染めは便利ですが、かなりしっかりと染まるため、再度カラーリングをする予定があるなら注意が必要です。
今回は、黒染め後にカラーをしたい場合にはどんな方法があるのか、またしっかりトーンアップができるのかを調査しました。
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黒染めってどんなカラーリング?
写真は表参道の美容室 Cocoon 表参道 のスタイルより
まずは、黒染めで使用するカラー剤や、黒染めをすると髪がどのような状態になるのかを解説します。
黒染めのカラー剤について
黒く染めるのは簡単ですが、黒から明るく染めるのは難しいのです。
「黒染め」という名前から、真っ黒な染料をイメージしている方も多いのではないでしょうか。実際のところ黒染めで使用されるカラーリング剤は、赤・青・黄などの染料を組み合わせて暗く染まるように作られています。
日本人の場合は、髪に赤みがある方が多いことから、なるべく地毛に近い色を表現するために、黒染めのカラー剤は赤が多めに配合されているのです。そのため、黒染めの染料が抜けると赤みが出やすいという特徴があります。
黒染めをした髪はどうなる?
黒染めに使用していた染料が何かなんて覚えませんよね。美容室では履歴が残るので安心ですよ!
日本人の平均的な地毛の明るさは、カラー剤でいうと4〜6トーンにあたります。黒染めをする際は、希望する暗さのレベルに合わせて、この前後のトーンに調整をします。
黒染めの染料は通常のファッションカラーの色味よりも濃く、髪の中から抜けづらい配合になっています。そのため、新しく色を入れたとしても染料が邪魔をして、思った色味が出ないことがあります。
また、黒染めした部分よりも新たに伸びてきた根元に近い髪の方が染まりやすいため、黒染めのあとに通常のカラーをするとバラつきが出ることも。根元だけ明るく、黒染めの部分は暗い色のまま染めムラになってしまうのです。
黒染めのもちはどれぐらい?
黒染めの後のカラーリングは意外と難しい!?
先述のように、黒染めの薬剤は髪がしっかり染まるように配合されています。黒髪を維持できる期間の目安としては、だいたい3ヶ月〜6ヶ月ほどです。色もちのよさはもとの髪色にも左右され、たとえばブリーチをした髪に黒染めをしたすると、3ヶ月より早く色が抜けはじめることもあります。
黒染めの染料は1年ほどたっても残っている場合もあり、伝え忘れたまま美容室でカラーをすると、プロのスタイリストでも均一に染められないケースがみられます。
染料の残り方は、施術履歴や髪のダメージの状態によっては変わってくるため一概には言えません。しかし、行きつけの美容室で黒染めをしてもらうとカルテに記録が残るため対処方法が判断しやすく、その後のカラーもムラなくきれいに染めてもらえる可能性が高くなります。
▼編集担当・片桐
ホームカラーの黒染めは、幅広い髪質の方に対応できるよう、サロンで使用する薬剤よりもさらに染料が濃く作られています。その後のカラーリングが難しくなる傾向が強いため、使用にあたっては注意が必要です。
黒染めから明るく染め直すことはできる?
写真は大阪の美容室 MEUZ のスタイルより
結論からいうと、染料を分解して理想の色に近づける方法はあります。ただし、黒染めをした後にカラーをすると、染まりづらくなったり、ムラになったりしやすくなる場合が多いため注意が必要です。
また、強い薬剤でのカラーを繰り返すことになるため、髪が必要以上にダメージを受けることも心に留めておきましょう。
黒染めから明るい髪色に染め直す場合、以下の2つの方法が一般的です。
- ブリーチ剤で脱色する
- 脱染剤で染料を分解する
それぞれ、どのようにして髪を明るくするのかを解説します。
黒染めの染料を抜く方法①ブリーチ剤で脱色する
髪への負担はありますが、ブリーチ剤でも脱色は可能です。
黒染めから髪を明るくする場合「ブリーチ剤で染料を脱色する」という方法が挙げられます。ただし、一度のブリーチで完全に黒染めの染料が抜けきらない場合も。何度かブリーチを繰り返す必要が出てくるため、髪が過剰なダメージを受けることがあります。
なるべく髪への負担を抑えながら希望の明るさに近づけるためには、髪の状態をふまえてブリーチ剤の強さを調節したり、放置する時間や、ブリーチをする回数などしっかりと見極めて施術しなければなりません。
黒染めした髪をブリーチするとどうなる?
写真は名古屋の美容室 Brooch金山 のスタイル写真より
ブリーチ剤を使うと、薬剤の成分が黒染めの色素と地毛のメラニン色素の両方を分解するため、髪をグッと明るくすることができます。
1回目のブリーチでは、髪はオレンジに近い色味になりますが、何度かブリーチを繰り返すと、どんどん黄色がかったトーンに変化していきます。
黒染め後の髪は、均一に見えても色素は濃く染まっている所と薄く染まっているところのばらつきがあり、プロの美容師がブリーチをしてもムラになることが多いのです。そのため、何度かブリーチをして均一に明るくしなければなりません。
ディレクター・松本の髪の写真です。色が抜けて黄色くなった部分がブリーチをした箇所。ブリーチ直後もこのような色合いになりやすいです。
基本的にはブリーチをした後はギラつきのある黄色い髪色になる場合が多いので、そこにもう一度ヘアカラーをして色味を重ねる必要があります。そうすることで、透明感のある髪色が完成します。
ブリーチの後はヘアカラーの色が抜けやすいため、自宅でのアフターケアが必須です。施術後の髪にしっかり栄養をあたえ、ヘアカラーの色持ちをよくするためにも、毎日のシャンプーやトリートメントでしっかりお手入れしましょう。
▼編集担当・片桐
ブリーチ剤といえば髪が傷んだり、パサついたりするイメージが強いかもしれません。しかし近年はヘアケア剤を組み合わせた「ケアブリーチ」が登場し、多くのヘアサロンで使用されているんです。
なかでも、髪に栄養を補修し、内部の結合にはたらきかける「プレックス剤」と呼ばれる添加剤を配合したものが注目を集めています。
黒染めのトーン×ブリーチ回数でみる髪色の変化
写真は新潟の美容室 BLUE のスタイルより
黒染めのトーンによって、ブリーチ後の髪色の明るさには違いがみられます。黒染めをした際のトーンとブリーチの回数ごとに、仕上がりの髪色の明るさの目安をまとめてみました。
黒染めのトーン | ブリーチ1回 | ブリーチ2回 | ブリーチ3回 |
---|---|---|---|
3トーン | 赤みがかったオレンジ | オレンジ | オレンジがかった黄色 |
4〜5トーン | 赤みがかったオレンジ | 明るいオレンジ | 少しオレンジがかった黄色 |
6〜7トーン | オレンジ | 少しオレンジがかった黄色 | 黄色 |
黒染めは赤の染料が濃く配合されているため、1回目のブリーチ後は黄色よりも赤みが強いオレンジになります。その後、複数回のブリーチを経て黄色みのある髪色に変わっていきます。
黒染め後の髪は、赤みが残っていることから暖色系に染まりやすいという特徴があります。一方で、アッシュ系をはじめとする寒色には染まりづらく、必要なブリーチの回数が増えます。
ブリーチが向いている人
写真は京都の美容室 haku のスタイルより
ブリーチが向いているのは、黒染めのあとに明るいヘアカラーにしたい人、透明感のあるヘアカラーをしたい人です。ブリーチ剤を使うと、淡く繊細なヘアカラーが楽しめます。
髪がダメージを受けやすい施術なので「明るくしたあと、しばらくは髪色を変える予定がない」という場合に適しています。一方、カラーリングやトーンを頻繁に変えたいなら、髪への負担が大きいためブリーチ剤はあまりおすすめできません。
▼編集担当・片桐
近年は、ハイトーンカラーやデザインカラーのブームや、「白髪ぼかし」の施術でハイライトを入れるデザインが人気を集めている影響もあり、以前よりもブリーチを積極的に取り扱うヘアサロンが増えた印象です。
黒染めの染料を抜く方法②脱染剤で染料を分解する
扱っている美容室は限られますが、脱染に特化した薬剤です。
もう1つの方法は「脱染剤」という薬剤で、黒染めの染料を分解する方法です。完全に染料を落とし切ることはできませんが、「ブリーチ剤によるダメージが気になる」という方は検討してみる価値あり。元々の髪色は維持したまま、黒染めの成分のみを抜き取るようなイメージです。
ただし、脱染剤は扱っている美容室が限られているため、希望の方は事前に確認することをオススメします。その場合は「ブリーチ剤以外に黒染めを取る薬剤はありますか?」とサロンに確認してみるとスムーズです。
黒染めした髪に脱染剤を使うとどうなる?
脱染剤の使用で起きるトーンアップは、黒染めの成分を分解できたということです。
髪質や脱染剤の種類にもよりますが、施術後の髪は赤みが出やすいのが特徴です。なかには黄色やベージュなどの色味が出る場合もあります。
脱染剤は黒染めの染料のみを分解するため、髪の内部にあるメラニン色素には作用しません。施術時はムラが出にくいようにたっぷりと髪に脱染剤をつけるので「大丈夫かな」と不安になる方もいますが、黒染めをした部分以外は色が抜けないので安心してくださいね。
脱染剤はカラー剤の染料のみを分解しますが、どうしても黒染めする前の髪の明るさから1〜2レベル程度はトーンが明るくなってしまいます。また、多少は髪に負担がかかるという点も覚えておきましょう。
脱染剤使用後のカラーをどうするかはしっかり美容師さんと話し合って決めましょう。
脱染剤で施術した後、ブリーチ剤と同様に再度ヘアカラーをして色味を重ねる必要があります。脱染剤を使った後の赤みや黄色みを消しつつ、希望の色味やトーンになるようにカラーリングを行います。
なかには「脱染剤をした後のそのままの髪色でいい」という方もいますが、根元のリタッチが必要な場合や、色味を長持ちさせるためにあえて似たような色味でヘアカラーをしたほうがいい場合もあります。
また、ブリーチと同様に脱染剤を使った後はホームケアに注力しましょう。髪の表面のキューティクルを整えたり、保湿をしてパサつきをおさえたりするトリートメントを使用するのがおすすめです。
脱染剤が向いている人
カラーを大幅チェンジする時に必要になる技術です。
脱染剤での施術に向いているのは、黒染めをした後にほんの少し明るくしたい人や、長年続けてきた白髪染めなどの色味を変えたい人です。
脱染剤は、ヘナやマニキュアでの黒染めからをしていた人が、髪色を変えたり、普通のカラー剤(ファッションカラー剤)へ移行したりする際の前処理として使うこともあります。
ヘナやマニキュアを使用した髪の表面のカラーコーティングを脱線剤で剥がしておくことで、次にするヘアカラーがムラになるのを防ぎます。
また、白髪染めをやめてグレイヘアにしたい場合にも、脱線剤を使って黒染めや白髪染めの色素を分解することがあります。最近では需要が増え、さまざまなタイプの脱染剤が各メーカーから発売されています。
黒染めをする際の注意点
写真は千葉の美容室 li best. byjb 稲毛 のスタイルより
黒染めをする場合の注意点についてご紹介します。これを押さえるだけで、黒染めから明るい髪色への移行がスムーズにできたり、極力ダメージに配慮して施術を行ったりできます。とくに、黒染めの後に髪色を変える予定がある方は知っておいて損はありません。
美容室で染める
写真は京都の美容室 PIECE PRIVE のスタイルより
市販の黒染め用カラー剤は、費用や時間がかからないというメリットがある反面、美容室で使用するものよりも染料が濃く、自分に合う色を選ぶのが難しいという点には注意が必要です。
また、前述のように、サロン用のカラー剤よりも染料が濃いものが多く、明るい髪色に戻しにくいという特徴もあります。
将来的に明るい髪色にする予定があるなら、美容室で黒染めをするのがおすすめです。プロの手で施術をするため、セルフカラーよりもムラになりにくく、きれいに仕上がります。
髪の施術履歴をメモしておく
写真は京都の美容室 Befine e-ha AVEDA のスタイルより
もし、行きつけの美容室以外のお店で黒染めをする場合は、これまでの薬剤施術の履歴をメモに書き出すなどして、カウンセリングで伝えられるようにしておきましょう。
いつどんな施術をしたのかがわかると、美容師が髪の状態を把握しやすくなり、カラーリングの際の薬剤のコントロールやヘアケアに生かすことができます。
すぐに明るくする場合は事前に伝えておく
写真は大宮の美容室 CITA のスタイルより
「黒染めは一時的なもので、できればすぐに明るい髪色に戻したい」と考えている場合、美容師にも共有しておくことをおすすめします。髪の状態や用意されているカラー剤にもよりますが、明るく染めることをふまえたカラーリングをしてくれるでしょう。
目的に合わせて黒染めのトーンを選ぶ
写真は京都の美容室 MAULOA のスタイルより
黒染めと一口に言っても、実はトーンにバリエーションがあります。染める目的やもとの髪色によって適切な明るさが異なるので、美容師によく相談して選択してください。
一般的な黒染めは、6トーン以下の範囲で行われます。もし「ある程度落ち着いて見えるなら、黒髪でなくてもOK」という場合は、暗髪と呼ばれる6〜7トーン程度のカラーにするといいでしょう。
目的別・黒染めにおすすめのトーン
- 3トーン…地毛よりも黒く染めたい場合。黒染め後は明るくしにくい点に注意
- 4〜5トーン…地毛に近い自然な色に染まる
- 6〜7トーン…黒髪に近い暗めのブラウン。真っ黒でなくても問題ない場合や、近い将来カラーの予定がある場合に適している
トーン数が低くなるほど、明るく染めにくくなります。今後の予定もふまえて、明るさを決定しましょう。
▼編集担当・片桐
就職活動や転職活動で髪色を暗くする場合、6〜7トーンを目安に染める方が多いようです。金融や公的機関など、ややかっちりとした印象を求められる場合は、6トーン以下が無難でしょう。
明るくする時期は黒染めから3週間程度が目安
写真は札幌の美容室 Lamp light のスタイルより
黒染めから時間が経過しすぎると、色が抜けにくくなり、髪色を明るくするのに余分な工数が増える、髪がダメージを受けやすくなるといったリスクが生じます。
黒染め後のカラーチェンジは、施術の3週間後が適切だと言われています。染める予定がある場合は、時期を逆算して美容室の予約を入れてください。
まとめ
実力のある美容師さんならしっかりとあなたのニーズに応えてくれるでしょう。
ブリーチ剤と脱染剤は、どちらも少なからず髪に負担がかかるため、しっかりとした技術のあるサロンで施術してもらいましょう。美容師とよく相談して、かかる時間や金額なども確認してください。
黒染めから明るい髪色に変える場合、短期間で複数回の薬剤施術を行うことになります。美容室で用意されているトリートメントを利用したり、ホームケア用のシャンプー・トリートメントを購入するなど、ヘアケアを念入りにするのも大切です。
▼編集担当・片桐
私自身は、学生時代に就職活動をする際に黒染めをした経験があります。半年ほど黒髪の状態でしたが、次にカラーをするときになかなか明るくならなかったように記憶しています。通常のカラー剤で染めてもらったのですが、ブリーチだったらもっと明るくなっていたのかも?この記事では、最新の黒染め事情をご紹介します。