美容師が白髪染めの最先端を伝授!もう隠さない「白髪を生かす」カラーリング6選!
日本では長年「白髪=隠すもの」と捉えられてきましたが、少しずつ時代は変わりつつあります。白髪を上手に生かしたカラーリングにすれば、ありのままの自分を受け入れ、もっと毎日を楽しめるかもしれません。この記事では海外と日本で美容師経験をしてきた私・fukumiが「白髪を生かす」カラーリングについてお伝えします!
はじめに
今までの「白髪を染める」という発想と違い、「白髪を活かす」ヘアカラーがあります!
年齢とともに、少しずつ増えていく白髪。みなさんはどうしていますか?染めたては白髪もなくなってきれいなヘアカラーを楽しめますが、何度カラーリングをしてもひと月もすれば根元にちらほらと伸びてしまいますよね。
いつまでそのカラーリングを続けますか?「白髪染めとは、終わりのない戦いだ」と思っている人はとても多いです。隠そう、なくそうとしている人にとって、これからはやる大本命の新しい白髪染めはいままでと全く違います!あなたの白髪を生かしたカラーリングができるって知っていましたか?
どうして白髪になるの?
年齢を重ねるごとに少しずつ存在感を増してくる、白髪。
そもそも、生粋の日本人である場合、髪は黒や、黒に近いこげ茶色がほとんどです。それがなぜ年齢を重ねることで白髪になってしまうのでしょうか?実は、髪が何色になるのかは、毛根にある細胞によって決まるのです。
この辺りは「現役美容師が教える!予防方法から活かし方まで!徹底白髪染め対策14選!!」の記事に詳しく書いてありますので興味のある方は読んでみてください!こちらの記事から一部を引用します。
・メラノサイトという細胞がインクのカートリッジのような役目をしていて、人種や個人によってインクの色を変えている。
・色を作り出すメラノサイトが何かしらの原因で働かなくなってしまうと白髪になる。
メラノサイトが機能しなくなる原因って?
①老化による活動力の低下
②ストレスやホルモンバランスの変化による活動力の低下
③抜け毛によるメラノサイトの喪失
なぜ白髪ができるか、そのメカニズムは全て解明されているわけではありませんが、上記のような理由であることが少しずつわかってきています。
白髪をしっかり染めるのはアジアのみ?
落ち着いたイメージの白髪染め。(写真は表参道Studio Teoのスタイルより)
白髪染めと聞くと連想される一番多いカラーリングは、一色染め(ワンカラー)でしょうか。白髪の生える年齢からか、落ち着いた少し暗めの茶色で全体を染める方が多いと思います。
では、他の国ではどうでしょうか?私はいままでいろんな国に行く機会がありましたが、各地で日本人のように一色染めの人はあまり見かけませんでした。どちらかというと白髪のある大人の人のヘアカラーの方がこだわっていて遊び心があるといった印象です。海外では基本的に白髪を生かすカラーリングが多いのです。
日本と海外とでは白髪に対する意識も違うのかもしれません。
日本では少し前に流行った「美魔女」のように若く見えることを美徳とする文化が強いため白髪を染めて隠したい人が多かったのですが、最近は急速に変わりつつあります。「なるべく白髪を生かしたカラーリングをしたい」と思う人がとても増えてきています。
そのなかでも、白髪染めもカラーリングも一切せずに地毛のままのグレイヘアにしたいと思う人も増えています。「グレイヘアって何?」と聞かれることもありますが、白髪のことですよ。無理に白髪を隠さない一つの手段としてグレイヘアは定番となりつつあるので、初耳!という方はぜひ覚えておいてください。
地毛のままの「グレイヘア」にしたい人こそ、まずは白髪を生かしたカラーリングを!
白髪を活かしたカラーリングなら「プリン」の状態にもなりにくく、ストレスもありません!
グレイヘアにしたい場合でも、「よし!明日からカラーリングはやめよう!」と決めるのはなかなか難しいのが現状ですよね。根元から毛先まで地毛に戻そうと思うと、それなりの年月がかかります。ショートヘアやボブヘアだと1年から2年、ミディアムヘアやロングヘアだと3年から4年はかかると思います。
その間プリンになったままのヘアカラーだとどうしてもストレスもたまり無理がありますが、白髪を生かしたヘアカラーにシフトしてからだんだん地毛に戻していくと、カラーリングも楽しめるし見た目もきれいに保つことができるので理想的です。
特に、ずっと白髪染めをしていた人は、白髪のある状態をあまり見慣れていません。私のお客様のなかには何人も急に白髪染めをやめて地毛にしてみると決めた人もいましたが、ほとんどの人が我慢できずに白髪染めに戻ってしまいました。まずは何回か白髪を生かしたカラーリングをしておくことによって白髪を見慣れるので、「なんだか急に老けて見える」と思うこともなく白髪を楽しむことができますよ。
グレイヘアに関しては「最旬ヘアスタイル「グレイヘア」への移行方法3選と、白髪を楽しむためのヘアカラー3選」の記事にも詳しく書いてありますので、興味のある方は読んでみてください。
白髪の目立たないカラーは何色?
白髪のタイプによって、なじませカラーリングの方法があります。
では、白髪が目立たないカラーとはどんな色なのでしょうか?これは白髪を生かすカラーリングをするときには、ぜひ知っておいてもらいたい基本です。
白髪というと、「白い」という印象がある方が多いと思いますが、実は大まかに以下の2タイプに分かれます。
- 真っ白なタイプ
- やや黄味がかったタイプ
人の視覚は繊細でありながら、曖昧でもあるので、全体の色を同系色でまとめると白髪は目立ちにくく、なじんで見える特徴があります。
アッシュ系のイメージ。少しくすんだ色味なのがわかりますか?(画像は吉祥寺クロード・モネのスタイルより)
真っ白になる白髪タイプの人はアッシュがおすすめ。やや黄味がかった白髪のタイプの人はベージュがおすすめです。注意してほしいポイントとしては、ベージュとブラウンの違いをきちんと把握してほしい、ということです。
ブラウンはやや赤味が含まれているので、白髪を生かすカラーリングをしたいときには色味が黄色っぽい白髪+赤色のベースとなり、逆に白髪が目立ってしまいます。
ブラウン系のイメージ。画像は少しピンクがかっています。(同じく吉祥寺クロード・モネのスタイルより)
しっかり白髪を染めて他の髪と均一に染めたい場合にはブラウンはとても相性が良いのですが、白髪を生かすときには黄味の含まれているベージュの方がおすすめです。黄色っぽい白髪+黄色のベースとなるのできれいになじみますよ!
同系色でカラーリングをしておくと退色後も違和感がなく、きれいです。また、白髪を生かしたい場合はしっかり染めすぎないことが前提です。白髪にほんのりと色を入れて全体的にバランスのとれたヘアスタイルを目指しましょう!
次からいよいよ、白髪を生かすカラーリングの方法についてご紹介します。今回紹介するのは3種類!それぞれ違った雰囲気に仕上がるので、白髪の量や好みに合わせていろいろ挑戦してみてくださいね!
- 真っ白になる白髪タイプの人はアッシュがオススメ
- やや黄味がかった白髪のタイプの人はベージュがオススメ
- 全体のバランス・伸びてきたときのことを考えてしっかり染めすぎないのが白髪を活かすコツ!
白髪を生かすカラーリングの種類①目立たせる…ヘナ・マニキュア
カラー剤の中でも低ダメージで染められたり、自然派系の代表格として知られるのがヘナとマニキュアです。
最初にご紹介するのは、ヘナやマニキュアを使ったカラーリング。アレルギーの原因となる「ジアミン」を含まないものが多く、髪や頭皮に優しい染め方です。しかし注意したいのは、これらのカラー剤は基本的に白髪のある場所にしか発色して見えないということ。爪に塗るマニキュアと同じで髪の表面に色素がコーティングされます。
黒髪の部分にも発色しているのですが、黒髪の上にどんな色を重ねても黒っぽくしか見えないために、白髪のみ発色しているように見えてしまうんですね。でも、そこさえ気をつければ、ナチュラル志向の方や敏感肌の方も満足できる染め方になるはず!明るさも色味もさまざまなので、飽きることなく続けられますよ。
- 髪に優しく、ハリコシが出る。色のバリエーションが多く発色が鮮やか
- カラーリング後、1週間くらいはシャンプー中の泡に色がつく。
- マニキュアとヘナ以外のカラーリングをしたい時に、コーティングされた色素を剥がすためブリーチが必要になる場合がある。
ちなみに、ヘナに関しては「現役美容師がヘナカラーの魅力と難点を語り尽くす。」の記事に詳しく書いてあるので興味のある方は読んでみてくださいね!
1. グレイアッシュカラー
白髪の割合が多くてもチャレンジできるカラーです。(画像は銀座7inchのスタイルより)
男性でも女性でも格好良く仕上がるグレイアッシュです。青色と灰色が合わさっており、ややスモーキーな感じで特にショートヘアと相性が良いですよ!
灰色の調合を増やすほど暗く感じるので、明るすぎに抵抗がある人はやや暗い落ち着いたグレイアッシュカラーからスタートしてみてください。また、青色はオレンジ色を消してくれる色なのでオレンジ色に抜けて嫌だという人にもおすすめです。
2. ナチュラルカラー
柔らかい印象を与えたい方にオススメ。(画像は銀座7inchのスタイルより)
オーソドックスではありますが、だれでも挑戦しやすく肌なじみの良い色です。こちらも明るすぎが嫌な人は暗めのナチュラルカラーを選ぶこともできます。ですが、白髪を生かすのでしたら暗くても9レベルくらいがオススメですよ!
赤味も黄味も強くない茶色なので、優しい雰囲気に仕上がります。ミディアムヘアやロングヘアの女性らしいヘアスタイルの人が挑戦しやすいカラーリングです。
白髪を生かすカラーリング②ぼかす…ハイライト
白髪をぼかしながらスタイリッシュな印象に。(画像は札幌 Addもんでんのスタイルより)
これはハイライトのすじをより細く多く入れることにより、あえて白髪のラインのようにしておしゃれに見せるカラーリングです。挑戦しやすく、ハードルが低いのが特徴です。
白髪染めによって暗く染まった毛先にハイライトを増やしていくことによって、だんだん明るくもできます。特に白髪の多く出やすい顔周りやトップの分け目にハイライトを細かく入れると、ダウンスタイルでもアップスタイルでも白髪を生かすことができます。
根元が伸びてきてもハイライトが入っていれば白髪の存在をカモフラージュできます。気をつけてほしいのは、「細い」ラインであること。「太い」ラインだと白髪をぼかせず、少し昔のスタイルに見えてしまいます!美容師としっかり相談してラインの細さを決めてくださいね。
- おしゃれに今風のカラーリングになる。
- 新しく根元が伸びてきても白髪がわかりにくく、プリンになって見えない。
- 陰影がつくのでカールスタイルやアレンジととても相性が良い。
- 美容室で時間とコストがかかる。
- ハイライトは強めのカラー剤を使うので退色が少し早い。
▼ハイライトの詳しい記事はこちら
ハイライトで叶える毛先まで上品な大人ヘアカラー
▼表参道で人気の美容室studio Teoで体験したハイライト施術動画
1. 全体染め+ハイライト
少し明るいトーンの例ですが、暗めのトーンでも十分明るく見える染め方です。(画像は studio Teo のスタイルより)
全体はベースとして染めて、ハイライトをプラスします。ハイライトをたくさん入れることによって、全体が明るく見えます。アップスタイルにしない方なら、表面の見えるところだけにハイライトをしても良いですし、アレンジをよくする人でしたら襟足に入れてもおしゃれですね。
こちらも明るすぎるヘアカラーに抵抗がある人でしたら、ベースの明るさを7レベルくらいにしておくとハイライトを入れても8〜9レベルに見えるので、明るすぎて周りの人から浮きすぎるということもありません。
2. 全体は地毛のまま+ハイライト
ハイライトの明るさやどれだけ筋を入れるかで見え方をコントロールできます。(画像は ROJITHA のスタイルより)
このカラーリングは最もプリン状態が気にならない染め方なので、頻繁にカラーリングができない人やズボラさんにおすすめです。ハイライトのラインを明るくもできるし、暗くもできます。
色も選べるので、個性的にも落ち着いた雰囲気にもチェンジできます。白髪を生かしたい時はやや明るめにしておくと相性が良いので10レベルか、それよりも明るい方が白髪を生かせますよ。
10レベル以上と聞くと、「明るすぎる!」と思う人もいるかもしれませんが、染めるのはハイライト部分だけなので、仕上がると地毛の黒色と混ざるので思っているよりも暗く感じます。
10レベルのハイライトを入れたとしても仕上がりは8〜9レベルくらいですよ。ちなみに私は長年この染め方で白髪を生かしています。私の場合はブリーチを使って全体に細いハイライトを均一に入れています。仕上がりは10レベルくらいに見えますよ。
白髪を生かすカラーリング③なじませる…全体をハイトーンに染める
ハイトーンカラーのイメージ。(画像は吉祥寺 パルティルのスタイルより)
最後は、地毛部分を白髪の明るさに近づけるカラーリング。一度強めのカラー剤やブリーチなどで地毛の色を抜いてから、アッシュやベージュなど色味を重ねます。基本的には2回のカラーリングが必要になります。
そのため、何度も白髪染めをしていて、色素が毛先に強く残っている髪を明るくする場合や、だんだん白髪染めをやめていきたい人におすすめのカラーリングです。
強いブリーチを2〜3回使うと1回の美容室の来店でかなり明るい髪の毛になりますが、毛先のダメージが少し心配です。おすすめとしては半年〜1年くらいかけて徐々に明るくしていくと、自分自身も周りも見慣れていきますし、毛先へのダメージも少ないです。
ブリーチの利用方法を誤解しないでくださいね。正しい使い方は美容師さんに聞いてみて!
また、誤解されやすいのですが一度ブリーチなどで髪を明るくした場合、次回も全体をブリーチをする必要はありません。希望の明るさになったらそれでOKなので、2度目の来店時は新しく伸びた根元のみをブリーチします。その時は毛先にブリーチがつかないように保護しながらカラーリングをします。
ですので、必要以上に毛先がダメージするという心配はいりませんよ。何回くらいのブリーチで希望の明るさになるかは、担当の美容師さんに相談してみてくださいね。
- 肌が明るく、顔が華やかに見える
- 白髪の多い人と相性が良く、きれいになじむ
- 退色すると明るく感じるが、白髪染めをした後のような独特のギラギラした感じがない
- 美容室での時間とコストがかかる
- 根元が伸びてくると、逆プリンの状態に見える
- 強めの薬剤を使うので毛先がダメージしやすい
1. 12レベルのアッシュカラー
ブリーチを使用しなくても徐々にトーンを上げてここまで持っていくことができます。(画像は claude MONET のスタイルより)
本来は一度地毛の色を抜いてから色味を重ねるときれいに発色するのですが、あまり明るくしすぎたくない人や、だんだんと明るくしていく初段階の人に向いているカラーリングです。
いままでに白髪染めをしたことがない場合、おしゃれ染めのカラー剤を使えば1回で終わりますが、何度も白髪染めをしてきた方は一度ブリーチで脱色しないと明るくならないので美容師に確認してみてください。
2. ブリーチで明るくする+ベージュカラー
ブリーチを重ねて出す色なので、サロンでも自宅でもヘアケアはしっかり!(画像は 7inch のスタイルより)
少し時間とコストがかかりますが、白に近い金髪は日本人の肌ととても相性が良く、おしゃれです!退色してもベージュのベースの色味である黄味は残るので白髪をぼかしてくれます。白髪の多さに関係なく生かすことができますよ。
ショートヘアからロングヘアまで、どのヘアスタイルにも似合いますが、毛先を明るくするので特にロングヘアの人はダメージしないようにトリートメントでしっかりケアしてくださいね!
まとめ―白髪を「隠す」時代から「生かす」時代へ
白髪染めのポイントは、染め過ぎずに全体のイメージに合わせることです!
これまで、白髪染めというとほとんどの人がブラウンやブラックに染めて白髪を「隠して」いました。美容師として感じるのは、白髪染めによって髪だけが若く見えすぎてしまって、お顔の雰囲気や肌に合っていないと違和感がある場合があるということです。
海外(アメリカ)で生活してみて感じたのですが、若く見えるというのを大切にしているのは日本くらいだと思います。海外生活で現地の美容師に教えてもらったのですが、海外にもボトックスやビタミン注射などで美にこだわる人は多いのですが、あくまで「若返りたい」ではなく「きれいでいたい」と思うからだそうです。
年齢相応の美しさを楽しむというのも一つの考え方です。
年齢は関係なく、今の自分自身をもっと好きになるために美を追求するということ、私は美容師としてもひとりの女性としてもこの考え方がとても好きです。
もしアメリカで大人の女性に「あなた、とても若く見えますね!」言ったとしたら、それは褒め言葉でなく「あなたはとても子どもっぽくて、大人になりきれていない」ととらえられます。
もちろん文化の違いなので、日本では「若く見える」=うれしいという価値観はこの先も続くかもしれません。ですが美容師としては、あなたのその白髪も、美しい自然の姿なのだということを声を大にして伝えたいです。
隠すだけでなく、生かす白髪染めを楽しみましょう!(写真は表参道Studio Teoのスタイルより)
歳を重ねるたびに増えていくその白髪も楽しんでカラーリングできる世の中になるといいなと思います。
「白髪が増えてきたなぁ」とがっかりする人も多いとは思いますが、白髪があるからこそ楽しめるカラーリングもたくさんありますよ!
白髪は、あなただけのオリジナルのヘアカラーです。いろんな色に挑戦してください!白髪が増えるたびに、カラーリングの選択肢もどんどん増えていきます。白髪が生えてくることも、白髪を生かすカラーリングも、ぜひ楽しんでくださいね!