【脱白髪染め】白髪染めをやめておしゃれ染めをするメリット・デメリットは?仕上がりを徹底検証!
最近話題の「脱白髪染め」という言葉を耳にして気になっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、通常の白髪染めではない「おしゃれ染め」の薬剤でグレイカラーをするメリット・デメリット、仕上がりの違いなどを現役美容師が解説します。
「白髪染めをやめようかな?」「ファッションカラーでもちゃんと染まるの?」そんな風に迷っている方や、白髪をおしゃれにカバーしたい方はぜひ最後までご覧ください!

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▼編集担当・片桐
「脱白髪染め」「白髪ぼかし」は、ここ数年美容室を取材していて、とてもよく耳にするワードです。通常の白髪染めでは色味やデザインに満足できないというあなたは、試してみる価値アリ!脱白髪染めのメリット・デメリットの両方を解説するので、ぜひライフスタイルに合わせて取り入れてみてください。
脱白髪染めとは?
「脱白髪染め」という言葉を耳にしたことはあるけれど、実際にどんな施術をするのか想像がつかないという方も多いでしょう。脱白髪染めは、あえて白髪染めを使用せずに髪を染めたり、カラー自体をやめてグレイヘアを楽しんだりと、さまざまなアプローチがあります。
そこで、この記事では以下の(1)または(2)を脱白髪染めとして定義します。
(1)白髪染めの薬剤をやめ、ファッションカラー剤やブリーチ剤を使ってカラーリングをする
(2)白髪の周辺に細かいハイライトを入れることで、周囲の髪と馴染ませる(白髪ぼかし)
これまで「白髪染め=専用の薬剤で染める」という施術が定着していましたが、近年は新しいグレイカラーの形として、脱白髪染めが流行しています。従来の白髪染め、脱白髪染めの2つの選択肢を知ることで、自分に合ったカバーの仕方を見つけましょう。
白髪染めとおしゃれ染めの違い

白髪染めとおしゃれ染めの違いとは?
白髪染め用の薬剤(グレイカラー)とおしゃれ染め用の薬剤(ファッションカラー)には、以下の特色があります。
- 白髪染め…白髪を地毛のように染めることに特化したカラー剤
- おしゃれ染め…明るさや色味を表現するためのカラー剤
通常の白髪染めとファッションカラー剤を使った脱白髪染め、それぞれの違いを詳しくみていきましょう。
白髪染め・おしゃれ染めではブラウン染料の濃度が異なる
白髪染めには濃いブラウン、おしゃれ染めには薄いブラウンの染料が使われています。白髪染めは染料が濃いので、髪色が暗くなった状態を維持することができます。一方、おしゃれ染めには、「アッシュ」「ピンク」といったそのカラー剤特有の色味を強く出すために、ブラウンの染料が薄めに配合されているのです。
ブラウンはバランスよく髪が染まり、扱いやすい色素であることから、たいていのカラー剤に配合されているものです。
白髪染めにはブラウンの染料が欠かせません。地毛の黒と白髪の白の明るさは15レベル以上も違うといわれています。それだけの明度差がある状態をバランス良く染め、明るさが際立つ白髪にしっかり色を入れるために、白髪染めには濃いブラウンが配合されています。

ブラウン配合なしのカラー剤で染めると、このようになります!
ところが最近では、より発色を強くするためにブラウンが配合されていないカラー剤もあります。画像のオレンジもブラウン配合なしのカラー剤で染めました。
ただし、持ちが良くなかったり、ベースの明るさが均一でないとムラが出やすかったりと、デメリットもあります。
また、脱白髪染めの施術では、白髪をぼかす(周囲の髪になじませる)ためにブリーチ剤を使用する場合も。ブリーチは、毛髪内部のメラニン色素を分解して脱色するのが役割です。
仕上がりの違い
白髪染めの薬剤を使用することで、髪に濃い染料が入り、気になる白い部分をしっかりと染められます。
一方、脱白髪染めでファッションカラー剤を使用する場合、通常の白髪染めと比較すると明るく透明感のあるカラーリング、自由度の高い色味が叶います。
ブリーチを使用して白髪ぼかしを行う場合は、白髪に近いトーンでハイライトを入れて自然になじませたり、より明るいトーンに仕上げたりできます。
メンテナンスの頻度
通常の白髪染めの場合、3週間〜1ヶ月程度の周期で染め直しをします。染めている部分はしっかりと色が入った状態なので、長期間染めないままでいると根元と既染部分のコントラストが目につきやすくなります。
ファッションカラー剤・ブリーチ剤を使った脱白髪染めはやや間隔が空き、1.5ヶ月〜2ヶ月程度が目安です。
白髪の量やカラーデザインによって個人差はありますが、基本的には脱白髪染めといわれる施術の方が、メンテナンスの頻度は低い傾向にあります。
おしゃれ染めで白髪は染まらない?
「おしゃれ染めで白髪を染めるのは難しいですか?」というご質問を、多くのお客様からいただきます。適切にカラー剤を使用すれば、おしゃれ染めで白髪を染めることができます!
まずは、一般的に「おしゃれ染めでは白髪が染まらない」といわれている理由をご説明しましょう。実はこれは、「染まらない」のではなく「染まっているように見えない」状態です。
白髪の毛髪には、色素がまったく入っていません。色素がない毛を薄めのブラウンが配合されたファッションカラー剤で染めると、薄いブラウンの髪色に仕上がります。同じく黒髪に薄いブラウンを足すと、下地が黒のためブラウンに染まります。
つまり、同じ色のカラー剤を使用しても、ベースの状態によって違った髪色になるということ。白髪と黒髪が混在した状態で薄いブラウンのカラーをのせると、白髪の部分だけが染まって見えないのです。

同じ色で染めても印象が変わります!
こちらの画像は、左側が全体が白髪の人をグレージュで染めた場合のイメージ、右側が黒髪の人を同様のグレージュで染めた場合のイメージです。同じ濃さ・色味であるにも関わらず、こんなにもカラーの雰囲気が変わります。
もう一つイメージしやすい例を挙げましょう。白の画用紙と黒の画用紙に同じ色の色鉛筆を使って絵を描いたとしたら、同じ色の見え方にならないのは想像できると思います。
おしゃれ染めでも白髪は染まりますが、黒髪と白髪が混合している場合は、ベースが黒髪の部分は濃い色、白髪の部分は薄い色に見えます。こういった理由から、白髪はおしゃれ染めでは染まらないと思われているのですね。

濃い色味と薄い色味が混ざると、あまり綺麗に見えません
上の画像は、白髪の割合が30%程度の髪をグレージュで染めたイメージです。このように色が濃い部分と薄い部分が混ざっていると、ベースが白髪のところはキラキラして目立ってしまいます。
おしゃれ染め用の薬剤で白髪を染めるための条件
ファッションカラー剤を使って白髪を染める場合、髪の状態やカラー剤のコントロールがカラーリングに適していれば、きれいに仕上がります。
- 白髪の割合が60%以上
- ファッションカラー剤の配合を調整する
上記のいずれかに該当すれば、ナチュラルな白髪染めが可能です。詳細をみていきましょう。
白髪の割合が60%以上
白髪が全体の60%以上、つまり割合を比較した時に白髪の方が多い場合は、ファッションカラー剤でも違和感なく染められます。

白髪の割合によって色味が変わってきます
こちらの方で、白髪率が90%ほどです。白髪の割合が多いと均一に薄く染まり、まるでブリーチをしたような透明感のある色に染まります。

均一に薄く染まって透明感が出ています
ファッションカラー剤の配合を調整する
ファッションカラー剤は、白髪が染まるように配合をコントロールすることができます。白髪染め用の薬剤には、染料が濃い以外に高アルカリという特徴があります。
カラー剤のほとんどは、pH(ペーハー)がアルカリ性です。アルカリはキューティクルを開くはたらきをするため、毛髪内部に染料が入りやすくなります。白髪はキューティクルがピッタリと張り付いていて開きにくいため、高アルカリのカラー剤を使って反応させなければなりません。
白髪染め用薬剤の「染料が濃い」「高アルカリ」という特徴をファッションカラー剤の配合によって作ることで、白髪をしっかりと染められます。
【白髪の割合別】おしゃれ染めによるグレイカラーBefore/After
続いて、ファッションカラーで白髪を染めた場合の実例を画像でご紹介します。
白髪率が20%程度の場合

白髪率が20%のときにファッションカラーで染めた場合

明るさをキープしたまま、色味もしっかりと出ているのがわかります
白髪の全体量は20%に満たないほどで、まだまだ黒髪の割合が多いお客様の実例です。20%以下だと白髪はそこまで目立たないものの「分け目や顔まわりの生え際が気になる」という悩みが多くみられます。
画像をご覧いただくとわかるように、明るさを損なわず、しっかりと色味のある仕上がりを作れます。薬剤を適切にコントロールすることで、このようにカラーを楽しみつつ白髪もカバーできるのです。
白髪率が60%程度の場合

黒髪よりも白髪の割合が多いことで、白髪がハイライトの役割をしてくれます
続いては、白髪の割合が60%程度のお客様の実例です。
割合が全体の半分以上になると、増えていく白髪が気になるという方も多いでしょう。60%以上だと、顔まわりや分け目だけでなく髪のどの部分をめくっても白髪が目立ちます。
しかし、黒髪よりも割合が多くなると白髪がハイライトの役割をしてくれるため、透明感のある仕上がりになるという利点もあるのです。

白髪をカバーした透明感のある仕上がりになっています
白髪の割合が多い方も少ない方も、それぞれの白髪率に合わせた染め方をすることで、気になる部分をカバーしながらナチュラルな髪色を実現できます。
白髪をおしゃれ染めで染めるメリット・デメリット
ファッションカラーでの白髪染めは、明るくナチュラルなカラーリングを楽しめますが、一方で注意点もあります。ここでは、白髪をおしゃれ染めで染めるメリット・デメリットを解説します。
おしゃれ染めで染めるメリット
あえておしゃれ染めで染めるメリットは「カラーの色を楽しめる」と「色落ちしやすい」の2点です。
カラーの色を楽しめる
そもそもおしゃれ染めをする本来の目的は、カラーの色を楽しむこと。トレンドや季節ごとの気分を満喫するために髪色を変えるという方も多いのではないでしょうか。
白髪染め用の薬剤と比較すると、ファッションカラーは色の種類やトーンが豊富で、自由度の高いカラーリングが可能な点が大きなメリットです。仕上がりが軽やかで、透明感のある色表現ができます。
色落ちしやすい
おしゃれ染めなら、染料の濃い薬剤を使っても白髪染めほどは濃く染まりません。時間がたてば、白髪染めよりも明るく色落ちします。
色落ちは一見デメリットのようですが、色落ちして明るくなったほうが白髪は目立ちにくくなります。毛先が黒髪で根元から白髪が生えてきた場合、コントラストが強すぎるため根元の白が目立ちますよね。
一方、毛先が明るいとコントラストが弱まり、根元の白髪が目立ちにくくなります。たとえ脱色をしなくても、黒髪でなければ近しい効果が見込めます。

色落ちして明るくなった髪を染めることで、透明感が出やすくなります
また、色が落ちて明るくなると次に染める際に色が入りやすく、仕上がりに透明感が出るという点もメリット。これは、先ほど画用紙の例でお伝えしたように、ベースが暗い状態よりも明るい状態の方が色味がはっきりと発色して見えるためです。
おしゃれ染めで染めるデメリット
脱白髪染めのカラーリングが一般的になってきたものの、まだ対応したいない美容室が少ないという点や、薬剤のコントロールに美容師の高度な技術・知識が求められる点などがデメリットとして挙げられます。
また、ブリーチを使って施術をする場合、髪がダメージを受けやすくなる点も注意が必要です。必然的に、トリートメントなどのヘアケアにコストがかかります。
白髪染めで染めるメリット・デメリット
白髪染めにも、ファッションカラー剤と同様にメリット・デメリットがあります。両方の薬剤の良い点・懸念点を知ったうえで、自分に合うカラーリングの方法を選択しましょう。
白髪染めで染めるメリット
白髪染め用の薬剤は白髪を染めるのが目的であり、髪色を楽しむことよりも悩みの解決に特化しています。
「とにかく白い部分をカバーしたい」「黒髪の状態をキープしたい」という方にはグレイカラー専用の薬剤がおすすめです。一度染めたら色落ちしにくいので、色を変化させたくない方にとってもメリットがあります。
世界的に見ると、アジア圏特有の黒髪は「アジアンビューティー」として憧れられるヘアスタイルでもあります。また黒髪はツヤも出やすく傷んで見えにくいため、美髪を目指す方にとっても、相性のいいヘアカラーです。
地毛になじむよう白髪をしっかり染めて、暗めの色を長く保ちたいなら白髪染めが適しています。
白髪染めで染めるデメリット

白髪染めのデメリットは?
白髪染めのデメリットとして挙げられるのが、髪・頭皮に負担がかかりやすく、薄毛や白髪を増やす要因になる可能性がある点です。
白髪染めには高アルカリの染料が含まれており、髪にも頭皮にもダメージが起こります。とくに白髪染めは頻繁なメンテナンスが必要なため、施術のたびに刺激にさらされてしまいます。また、酸化を促す成分が含まれているものも多く、活性酸素によって白髪が逆に増えることがあるとも言われているのです。
また、色素が定着しやすい反面、髪色が暗くなりカラーを変えにくいというところもデメリットの一つ。染料の濃い白髪染めを繰り返し使っているとブリーチをしてもなかなか明るくならないため、無計画に髪を暗くしないよう注意しましょう。
すでに白髪染めで何度もカラーリングしている方は、ファッションカラーに移行する場合にも数回に分けて明るい髪色にシフトします。

ゼロテクの施術では、頭皮に薬剤をつけないように塗布してくれます

▼編集担当・片桐
カラー剤による頭皮への影響が気になる方のために、「ゼロテク」という技法を取り入れている美容室もあります。ゼロテクとは、頭皮に薬剤を付けずにギリギリから塗布する技術のこと。お店によって無料で行っているところもあれば、有料のオプションとして 提供しているところもあります。
おしゃれ染め・白髪染めどちらがおすすめ?
おしゃれ染め、白髪染めのどちらが優れているというものではありません。「白髪が生えてきた=白髪染め以外の選択肢がない」という認識をアップデートし、自分にぴったりの方法を見つけることが大切です。
ここでは、白髪染めとおしゃれ染めがそれぞれどんな人に合っているのかをご紹介します。
おしゃれ染めで白髪を染めるのがおすすめな人

おしゃれ染めで白髪を染めるのがおすすめな人は?
近年では職場の髪色の規則が緩和されていたり、ブリーチを使ったデザインカラーが流行ったりと、ヘアスタイルも多様化の傾向にありますよね。白髪はどうにかしたいけど、ただ白髪を染めるだけじゃつまらない!そんな女性が増えたと感じます。
以下に当てはまる方には、おしゃれ染めの薬剤を使った白髪染めがおすすめです。
- ヘアカラーならではの色味や明るさを楽しみたい
- いずれはデザインカラーをやりたい
- 白髪染めデビューに抵抗がある
- 頭皮の負担を考慮してカラーをしたい
意外なことに、白髪に悩む40代〜60代がヘアスタイルを検索する際、「インナーカラー」や「ハイライト」などブリーチを使用したデザインカラーをワードに入れて探すケースが多いんです。

「インナーカラー」や「ハイライト」などのキーワードが目立ちます
SNSで手軽に旬のカラーデザインをチェックできるので、そこからやってみたいと感じる方が増えているのだと考えられます。ファッションカラー剤を使った白髪染めなら、ハイライトやダブルカラーといったトレンド感のあるデザインを取り入れることができます。
白髪をカバーしながらおしゃれなカラーにしたい、グレイカラー剤によるダメージが気になるという方は、脱白髪染めにトライしてみてはいかがでしょうか。
白髪染めがおすすめな人

白髪染めがおすすめな場合をチェック!
前述した通り、白髪染めのメリットは「白髪が地毛になじむぐらいしっかり染まる」「染まったらなかなか落ちない」の2点です。先ほどは色がなかなか落ちないことをデメリットとしてご紹介しましたが、退色のしにくさを求める方もいます。
以下に当てはまる方には、通常の白髪染めがおすすめです。
- 白いところをしっかりカバーしたい
- 仕事で髪色を暗めにしなければならない
- ツヤのある黒髪や暗い髪色を維持したい
色味やデザイン性よりも白髪を隠すことを優先したい場合は、グレイカラー剤でカラーリングをしましょう。
脱白髪染めの疑問に答えます

脱白髪染めに関する様々な疑問と回答を見ていきましょう!
脱白髪染めに挑戦してみたいけれどわからない点、不明点があるというあなたのために、美容師がお客様から多く寄せられる疑問にお答えします!
脱白髪染めの場合、染める間隔はどれぐらい?
前述のように、ファッションカラー剤・ブリーチ剤を使った脱白髪染めのメンテナンスの間隔は1.5ヶ月〜2ヶ月程度です。
また、白髪ぼかしとしてハイライトを入れる場合は、1.5ヶ月〜2ヶ月の頻度で全体染めでカラーリングをしながら、4〜5ヶ月に1度を目安にハイライトを入れ直すようなペースになります。
髪の状態によってもメンテナンスの回数、頻度は異なるので、あらかじめ美容師に相談しておきましょう。
パーマや縮毛矯正を同時に施術できる?
パーマや縮毛矯正と白髪染め・カラーの施術を同日に行うのは、髪への負担がより大きくなるため推奨しません。最低でも2週間は期間を空けることをおすすめします。
日を分けて行う場合も、各施術にトリートメントと組み合わせるなどの対策をして、ダメージケアを欠かさないようにしましょう。
また、ブリーチで脱色をする場合は、縮毛矯正やパーマをかけられないケースもあります。ヘアサロンによっては酸性ストレート、酸性パーマなどで対応しているところもみられるので、お店に確認してください。
白髪染めをやめておしゃれ染めに移行するステップは?
これまで通常の白髪染めを繰り返して暗いカラーが定着している方は、いきなり髪を明るくするのが難しいことがあります。その場合は、ブリーチを数回に分けてハイライトの本数を増やし、ダメージに配慮しながら徐々に全体を明るくしていきます。
時間はかかりますが、少しずつ髪の印象が変わっていく過程を楽しむことができますよ。
おしゃれ染めでできるスタイル紹介
白髪の割合やお悩み別に、おしゃれ染めを使って作るカラーデザインをご紹介します。一見すると白髪染めだとわからないようなナチュラルなスタイルを集めているので、さりげなくカバーしたい方は必見です。
白髪ぼかしハイライト+アッシュベージュ(色落ちが気になる方、白髪率40%以下の方)

極細のハイライトを入れています
こちらは、白髪ぼかしハイライトの施術途中の様子です。この写真では、一般的なハイライトよりもかなり細く入れて、白髪の仲間を擬似的に増やしています。筋感をあえて際立たせないことで全体をなじませます。
たとえば白髪率20%の方に同じ分量(髪全体の20%)のハイライトを足すと、白髪率40%の髪に近い透明感や色味を作ることができます。

透明感のある落ち着いたアッシュベージュカラーです
仕上がりの状態です。大人世代に人気があるのは、透明感が増すアッシュベージュ系。アッシュが強すぎると、顔色が暗く、疲れた印象になってしまう場合があります。そこで程よくベージュやブラウンをミックスすると、肌映りがよくみえます。
細かくハイライトを入れるため、色落ちしたときに派手に見えたくない方におすすめ。また、白髪率40%以下の髪に適しています。
ブリーチ無しダブルカラー(白髪率60%前後の方)

ブリーチなしで明るくした後に、色味のあるカラーを入れます
ファッションカラー剤の色味を存分に楽しみたい方には、ダブルカラーが適しています。ダブルカラーは2回に分けてカラーリングを行うのが特徴です。
ブリーチ、あるいはブリーチなしの一番明るいカラーで1回目のカラーをしてまずは髪のトーンを明るくします。その後に色味を入れるカラーをすることで、きれいに発色するというのがダブルカラーの施術です。上の画像は、ブリーチなしで染めています。
明るいカラーは白髪が自然になじむので、伸びてきたときに気になりにくいのがメリットです。白髪は目立ちにくいものの、伸びると黒い部分との差がわかりやすい点は注意が必要です。
この方法がおすすめなのは、白髪率が60%以上の方。透明感がほしい場合はダブルカラーで施術しますが、白髪率が70%以上だとワンカラーでも再現可能です。
ワンカラー(90%白髪率の方)

ブリーチなしでも透明感のあるヘアになれます
白髪の割合が多いと、この写真のようにブリーチなしのワンカラーでも透明感を出すことができます。また、ブリーチをする場合は過度に明るくしないのが成功のポイントです。クリアな発色に仕上げるためには、ブラウンの配合量が重要。しっかり染めるのではなく、薄染まりを作りましょう。
バレイヤージュ(伸びたときの根元が気になる方)

グラデーションの効果で、髪が伸びても根元が気になりません
白髪をカバーしつつデザインカラーも楽しみたいなら、バレイヤージュがおすすめ。バレイヤージュとは、髪の表面にほうきでサッと履いたようなカラーリングを施す技法で、毛先からトップにかけて徐々にトーンが暗くなるのが特徴です。
このグラデーションによって根元が伸びてきても目立ちにくいため、脱白髪染めのデザインカラーとしてもオーダーされています。グレージュのような落ち着いた色を選択すれば、大人世代でもトライしやすいでしょう。
インナーカラー(顔まわりの白髪が気になる方)

顔周りの白髪が気になったら、インナーカラーを試してみてください
「フェイスラインの白髪が特に気になる…」そんな方には、顔まわり全体にインナーカラーを入れるのがおすすめ。フェイスフレーミングというデザインにも近いです。インナーカラー以外の表面部分にはおしゃれ染めの薬剤を使うので、色味も楽しめます。
ブリーチ部分がアクセントになり、華やかな印象を演出できるのもうれしいところ。通常のデザインカラーのような感覚で試してみてください。

▼編集担当・片桐
「脱白髪染め」と一口にいっても、こんなにたくさんのバリエーションがあるとは驚きですね。白髪の量によっても適したデザインが異なるので、年齢を重ねるにつれて新しいスタイルに挑戦できるのも楽しみの一つになりそう◎
まとめ

白髪の状態に合わせて、色々なスタイルを楽しむことができます
白髪染めとおしゃれ染めのそれぞれのメリットやデメリット、そしてどんな方に合うのかを解説しました。どちらの薬剤も適材適所に活用するのがベストで、カラーをする際に選択肢があるということが重要なのです。
最後に、いち美容師として個人的な意見を述べさせていただきます。白髪をネガティブなものととらえ、増えてほしくないと思っている方が多いでしょう。
しかし、ブリーチをしたような透明感のあるカラーや白髪となじむハイライトなど、白髪が増えることで可能になるデザインがあるのを、みなさまに知っていただきたいです。そう考えると白髪に対するネガティブな気持ちが、少し和らぐ気がしませんか?
ベストサロンレポートでは、白髪に悩む方にとって入りやすい美容室を掲載しています。全国のエリアごとに「白髪染めが得意な美容室」という記事があるので、ぜひ活用してください!
▼監修&ライティング担当・秋山 幸太
現役美容師ライターです。最近は、「脱白髪染め」というグレイカラーの新たな手法が浸透しています。具体的にどのような方法でカラーリングをするのかわからないという方も多いでしょう。今回は、実際の施術例の画像をたっぷりご覧いただきながら、白髪染めからおしゃれ染めに切り替えるための方法を説明します。