美容室ZESTはなぜ幅広い世代から絶大な人気なのか

公開日:2025/06/09

中央線沿線の吉祥寺や立川を中心に店舗を展開する、大人気の美容室「ZEST」グループ。その創業者である畠山幸一社長にインタビューを行い、ZESTが幅広い世代から長く支持され続ける理由を深掘りしました。

1979年創業の老舗美容室ZEST

老舗美容室ZESTのはじまりの頃の白黒写真

はじまりは夫婦ふたりとスタッフ1名の小さい美容室だった

吉祥寺に本店を構える美容室「ZESTグループ」は、2025年で創業46年を迎える老舗の人気美容室である。

夫婦で始めた飯田橋の小さな店舗からスタートし、現在ではFCを含む全17店舗、スタッフ総勢360名を抱える大規模サロンへと成長を遂げた。

トレンドに敏感な若者から美髪にこだわる大人世代までファンを抱える

若者世代がイメージできる写真

オフィシャルサイトを覗くと、若いスタイリストが活躍するトレンド最前線のサロンのように見える。

実際、その側面も確かに存在するが、一方で親子三世代にわたって通う顧客も多く、性別や世代を問わず幅広い層に愛されているサロンである。

トレンドに敏感な若年層や、アパレル・デザイン業界など、感性を重視する職業の顧客から支持される一方で、白髪染めなどエイジングケアを重視する世代の顧客も多数抱えている。

このように多様な層から支持を得ている理由は何か。

答えは明確である。

ひとつは、長年通う顧客がスタイリストとともに年齢を重ね、継続してZESTに通っていること。

もうひとつは、ZESTが美容学生から人気の就職先であり、若手スタイリストが常にトレンドを追求していること。

この二つの要素が、ZESTが幅広い世代に支持される大きな要因となっている。

サロンの成長を支えるZESTの原点

ZESTの写真の集合写真

2025年度は73名の新卒スタッフが入社した

スタイリストが顧客とともに年齢を重ねていくこと、そして若いスタッフが次々と加わること

一見すると美容室経営における基本のように見えるが、実際にこの二つを両立できている美容室は非常に少ない。

特に少子化により美容師志望者が減少している現在、美容学生から「選ばれる」美容室であり続けることは、容易なことではない。

では、なぜZESTは若者から選ばれ続けているのか。

その理由は、創業者・畠山社長の創業時の理念にある。

1979年当時、美容師の労働環境は現在とは比較にならないほど劣悪であった。
そのような状況に疑問を抱いた畠山氏は、美容師として働き始めた当初からこう考えていた。

「学校では先生が生徒に丁寧に教育するのに、なぜ美容室では新人にきちんと指導しないのか。」

「自分が独立して店を持ったら、スタッフをしっかり教育する美容室をつくる。そして、美容師を幸にすればお客様も幸せになる」

その想いが、美容室ZESTの原点である。

現在では、美容業界全体の労働環境や教育体制は改善が進んでいるが、創業当時にそのようなことに本気で取り組んでいた美容室はほとんど存在しなかった。

「感謝を忘れず、一生努力し続け、共に学び合う“共育”を柱とし、日本一愛され続ける美容室となる。」

この経営理念はZESTグループの文化として根付き、創業当時から続く「教える側も共に成長する」という価値観が、今も日々のサロンワークの中で実践されている。

熱心な学びと練習が幅広いメニュー提案につながる

ZESTの施術の練習の様子

共育をモットーに、先輩から後輩に指導するだけではなく、後輩が若者のトレンドを先輩に情報共有することも。

ZESTグループではスタッフが提供するメニューの幅が非常に広い

一人のスタイリストがヘア、ネイル、まつ毛、メイク、着付け、ヘッドスパまで対応することも珍しくない。

特にヘアメニューにおいては、髪質やダメージの状態、理想とするスタイルに合わせて細分化された選択肢の中から、最適なものを提案してくれる。

一見、当然のように聞こえるが、豊富なメニューを取り揃えるということは、それだけ学ぶべき知識や技術が多いということでもある。

日々進化する薬剤や技術に貪欲に取り組み続ける姿勢があってこそ、ZESTのサービスは成り立っているのだ。

美容師の夢の実現まで手厚くサポート

FC店オーナーの戸嶋さんのお写真

FC店オーナーの戸嶋さんは、本店畠山社長の手厚いサポートに親子のような強い絆を感じているという

さらに、ZESTにおける「学びの場」はサロンワークだけにとどまらない。

一定の実力を身につけたスタイリストには独立の支援も行っており、FC(フランチャイズ)としての独立後も、経営者としての伴走支援を惜しまない。

経営という新たな学びの場を提供することで、独立のリスクを最小限に抑え、美容師の夢の実現を現実的なものとしている。

次世代に引き継がれるZESTの創業理念

ZESTのスタッフのコミュニケーションをとる様子

風通しの良い職場で活発なコミュニケーションが日々交わされている

畠山社長の話を伺って、私はリッツ・カールトンホテルの理念を思い出した。

「従業員を大切にし、従業員の満足が顧客満足につながる」という思想を持つホテルチェーンである。

ZESTグループもまた、働く美容師を大切にし、教育に注力し、その結果として顧客を美しく輝かせ、満足してもらうという循環を確立している。

このポジティブなサイクルが機能しているからこそ、創業から46年が経過した現在も、同グループは成長を続けているのだと感じた。

私は畠山社長だけでなく、店舗の責任者やFCオーナーにも話を伺ったが、いずれも高い実力と人間的魅力を兼ね備えた人物ばかりであった。

優秀な人材が数多く育っているZESTグループ。

今後も堅実な成長を続け、創業100年の節目においても、活気に満ちた美容室として人々に愛され続けているに違いない。

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