抜け毛が気になります…
シャワーを浴びていて、ふと排水溝を覗くと大量の髪の毛・・・。「髪、抜けすぎてる?!」とビックリする前に、抜け毛に関する基本知識を振り返ってみましょう。誰にでもある抜け毛ですが、場合によっては病が隠れていることも。セルフチェックのご参考になれば幸いです。


ふと抜け毛の量が気になる時はありませんか?
自然な抜け毛は1日50本〜100本程度だと言われています。それ以上の抜け毛が続く場合、何らかの病気が潜んでいるかもしれません。
心配な場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
抜け毛の原因

ホルモンバランスの乱れが髪にも大きく影響します。
ホルモンバランスの乱れ
女性の場合、体内の女性ホルモン「エストロゲン」が減少することで細毛・抜け毛の悩みが出てくることがあります。
一般にそうした悩みが出て来るのは、女性ホルモンの分泌量がピークを過ぎる40歳頃からだと言われ、出産後や更年期などホルモンバランスが大きく変動する時期にも抜け毛に悩む方が増えています。
髪の太さ、量ともに30代後半をピークとして、その後徐々に細く、少なくなっていきます。

無理なダイエットは身体や髪にも良くありません。
女性の薄毛は男性のものと違い、頭頂部だけではなく全体的にボリュームダウンしてくるのが特徴です。女性に多いこの症状を、「びまん性脱毛症」や「女性男性型脱毛症(FAGA)」と言います。
また、喫煙や過激なダイエットなどもエストロゲンの減少の原因になることがあります。
(ダイエットによって月経が止まるなど)そうすると必然的に抜け毛のリスクも高まるため、健康的な生活をすることが元気な髪の維持にも繋がると言えます。

ストレスは血流を悪くし、身体やお肌、髪に悪い影響を与えます。
ストレス
ストレスによる抜け毛は、20代〜30代の方にも起こり得る現象です。
髪の成長には亜鉛という物質が欠かせませんが、ストレスを受けるとこの亜鉛が消費されてしまいます。
強いストレスを受けた時に抜け毛が増えてしまうのはこうした理由が考えられます。
またもう一つの理由として、ストレスによって頭皮の血流が悪くなり、髪の毛に繋がる毛細血管まで血が行き届かなくなることがあります。
亜鉛に関しては食事でも摂取することはできますが、できる限りストレスの少ない生活を送るのが一番です。

長い時間帽子を被ることは避けましょう。汗をかき、蒸れたままにしておくと毛穴の詰まりや汚れにも繋がります。
外的要因
帽子やヘアアレンジが抜け毛の原因になると聞いたことがある方もいると思います。
頭皮の毛細血管に血が行き届かなくなることが薄毛の原因になるため、帽子やヘアアレンジが血流を阻害するように頭皮に食い込んでいたり、蒸れたりするような場合、抜け毛の外的要因になることがあります。
頭皮に負担をかけないオシャレを楽しみましょう。

ヘアケアはすれば良いと言うものでもなく、頭皮や髪に合ったもので量を守って行いましょう!
合わないヘアケア
毎日のシャンプーやコンディショナーといったヘアケア用品は、頭皮環境と密接な関わりがあります。
例えば強い洗浄成分の入ったシャンプーでゴシゴシ頭を洗うと、いくら髪にコンディショナーをつけても、頭皮の皮脂は取れすぎて乾燥状態になってしまいます。
逆に洗浄成分やトリートメント成分が落としきれていない場合もフケやかゆみなどの原因になり、頭皮・毛根を傷つけてしまう可能性があります。
頭皮・毛根の状態が良くないことでも抜け毛に繋がることがあるため、自分に合ったケア用品を正しい使い方で使うようにしましょう。

女性も男性ホルモンを持っていて、そのホルモンの変化による発症が考えられます。
男性型脱毛症(AGA)
男性に多いのがAGAと呼ばれる男性型脱毛症で、女性の抜け毛のように全体がボリュームダウンするのではなく、生え際や頭頂部の毛が抜けてしまうのが特徴です。
まだ謎の部分も多いですが、男性ホルモンである「テストステロン」が酵素によって「ジヒドロテストステロン」に変化し、ひげや胸毛は濃くなるよう、毛髪は薄くなるよう働きかけることで薄毛になるというメカニズムがわかってきています。
治療はAGA専門クリニックの他、内科や皮膚科でも行っている場合があり、飲み薬や外用薬などで対処する場合が多いようです。
その他の脱毛症

集中的な脱毛は、ストレスによる一時的なもの。と決めつけずに皮膚科で見て貰うことをおすすめします。
円形脱毛症
頭髪の一部が集中的にごっそりと脱毛してしまう症状で、発症には年齢・性別を問いません。
1ヶ所のみの場合もあれば、複数の場合、細長く筋状に脱毛する場合など現れ方は様々です。
ストレスや遺伝が原因になることもありますが、橋本病や関節リウマチといった自己免疫疾患が根本にある場合もあるようです。
飲み薬、外用薬、ステロイド剤の注射といった治療法があるため、発見した場合は皮膚科に行きましょう。

皮膚の異常は身体のSOSです。重症になる前に皮膚科へ行きましょう。
脂漏性脱毛症
ストレス状態が続いたり、合わないヘアケアを続けて行うことで皮脂が過剰に分泌されると、本来は皮膚常在菌である「マラセチア菌」が増殖し、皮脂を中性脂肪に分解します。
分解された中性脂肪によりフケ、赤み、かゆみといった症状が生まれ、かきむしったりすることでかさぶたになり、最終的に毛髪を生やすことができなくなるという状態です。
ここまで進行することは稀ですが、常在菌が繁殖して皮膚炎を起こす「脂漏性皮膚炎」自体は頭皮以外にも鼻の脇や耳の裏などに起こりやすい皮膚炎であり、かきむしったりすると、とびひ的に患部が広がってしまうことがあります。
慢性化することもあるので、まずは皮膚の炎症を感じた時点で皮膚科を受診しましょう。

異常なフケの発生は必ず皮膚科へ!早期対策が大切です。
ひこう性脱毛症
フケにより脱毛を引き起こす症状のことで、一般的な程度のフケではなく、頭を白く覆ってしまうほど多量に分泌されるのが特徴です。
原因ははっきりとはわかっていませんが、元々アレルギー体質の人に見られることが多かったり、ホルモンバランスの乱れや食生活などが関わっているのではないかと言われています。
治療方法は脂漏性脱毛症と同じであるため、こちらもフケの異常な多さに気づいたらすぐに皮膚科を受診しましょう。

髪の結び方・髪の分け方は定期的に変え、同じ場所に負荷がかからないようにしましょう!
牽引性脱毛症
その名の通り、ポニーテールやお団子ヘアなどを長期間に渡り続けて髪を引っ張ることで起きる脱毛症のことで、他にもエクステや編込み、カチューシャなども原因になることがあります。
年齢は直接の原因ではありませんが、長年こうしたスタイルを続ける中で、毛や毛根が弱くなる年齢に差し掛かり、脱毛が始まるという場合があります。
対策としてはまず髪型を変えることが必須です。
一部に過度なテンションがかかってしまうことが髪・頭皮の負担になるため、なるべく自然な髪型に変え、頭皮マッサージや健康的な食生活などを導入しましょう。
重度の場合やなかなか生えてこない場合は皮膚科を受診するのがいいでしょう。

頭皮や毛根が傷付いたあと、毛が生えてきていない?と気付いた時は早期に病院で治療を行いましょう。
瘢痕性脱毛症
他の脱毛症と違い、毛根細胞自体が失われてしまい、そこが「瘢痕」(皮膚に残った傷跡・治療跡という意味)になることからこう呼ばれる脱毛症です。
発症の原因として、火傷やがんの放射線治療、皮膚に瘢痕を作るような病気の発症といった物理的な毛根の損傷が挙げられます。
他の脱毛症と違って毛根細胞自体が消失しており、一度生えなくなった箇所からは育毛剤等を利用しても毛髪は生えないため、早期発見・早期治療が大切です。
薬の投与や切除手術といった治療方法があるため、早めに皮膚科を受診しましょう。